• 1. 『コンクリートと私』って何?

    司会
     今回、JCI近畿支部ホームページのリニューアルに伴い、新しい企画として『コンクリートと私』というリレーエッセイのページを立ち上げます。今日はこの企画についての座談会を開催したいと思います。座談会の参加者はこの企画の立案に関わってきた支部常任委員のT先生とKさん、Iさん、Nさん、それから松田支部長です。司会は、私、大谷がさせていただきます。
    この座談会をはじめるにあたって、背景ですが・・・。
     まず、社会的にいろんな分野で活躍される女性が増えてきたということもあり、政府も女性の登用をより推し進めるよう要請する、そのような世の中になりました。そういう観点で見ますと、コンクリート分野でも活躍されている女性たちがおられますが、まだ少ないように思います。コンクリート分野で働く女性の意見をもう少し聞いて、コンクリート分野で活躍される女性がもっと増えるような環境作りができればと思うわけです。
     これからコンクリート分野で働こうと思っている女性の人たちに、どういう仕事があるのか、そこでのやりがいや悩みごとも含め、情報を提供できる場が設けられないかということで、当初は、コンクリート分野で働く女性たちの情報交換のためのサロン的なものをホームページ上で作れれば、ということを考えました。
     そこでJCI近畿支部の女性メンバーの人たちに、その辺についての企画内容を検討いただきました。T先生にお願いして女性メンバーの人たちと考えていただいて、今回『コンクリートと私』というリレーエッセイを提案いただいたわけです。
     まず、いろいろと検討いただいたT先生のほうから、企画の内容、あるいは概要について、簡単に説明をいただければと思います。T先生、お願いします。

    T女史
     『コンクリートと私』というサイトをどんなふうに運営していきたいかと話した時に、まず最初に挙がったのは、「読んで元気になるもの!」にしたいという意見でした。「悩んでいたのは自分だけじゃなかった」、「知っていたからそれを乗り越えることができた」っていうような情報源にしたいと思っています。女性が働きやすいということは、おそらく男性にとっても働きやすい環境でもあるはずですので、女性だけの目線ではなくて、男性からの目線、同僚として働いていたり、上司として女性を見たとき、部下として女性を見たとき、配偶者として女性を見たときにどうかっていう目線もあると面白いのかなということで、いろんなかたがた、女性に限らず全ての方に、仕事を通して考えていることなども含めて、コンクリートに関わる様々な視点の情報を共有できるようなサイトになればと考えています。

    司会
     ありがとうございました。「元気になる」ということですが、いろんなことで元気になれると思うんです。やりがいがあれば元気になれるでしょうし、例えば悩みがあっても、それをどういうふうに克服するかっていう方法やアドバイスが得られればいいし、他の人はこんなふうに頑張っているとか、そういう悩みって自分と同じだなという共感が持てても、それが応援のメッセージみたいな形になれば、いいかなと思うんです。
     それぞれの分野で、やりがいなり、面白みなり、悩みっていうのはあると思うんですが、例えば建設会社でもあると思うんですが、ゼネコンにお勤めのKさん、どうですか?

    K女史
     私が入社した平成15年頃は、建設会社に就職する女性の技術者が増えつつあるものの、土木の職に就く女性が少なかったので、周りの男性は女性をどのように扱えばいいか判断しにくい状況があったと思います。工事管理で女性を夜勤させていいか悩む上司がいたように、何か事案がある都度お互いの気持を探り合い、何とかやり繰りしているのが実情だったと思います。
     
    司会
     男性社会だった所に女性が入ると、どういうふうに対応すればいいのかっていうのは、当初、慣れてられない企業っていうのは多いと思います。でもだんだんと女性の人数が増えていくと、アドバイスができる人も増え、会社としても女性が働きやすい環境をつくりやすくなるのではないかな、ということでしょうか。

    K女史
     そうです。

    司会
     例えばコンサルタントの場合ですと、設計が多いかと思うんですけど、そういう職場ではいかがですか、コンサルタントにお勤めのIさん。

    I女史
     会社の中で内業をしている場合には、冷暖房の効いた、とても環境に恵まれた所で仕事ができますので、そこで体力的に女性だからどうこうっていうのはないと思います。ただし、調査系など現場での仕事がある場合には、現場事務所もないことが多いですし、寒いときの冷え性対策やトイレ等の問題は女性のほうが厳しいですね。年度末になると、土木業界は忙しくなることが多いですが、その中でもコンサルタントは確かに忙しくなるので、そのときは睡眠不足になったり、ストレスで体重が減ったり・・・。男女に関係なくつらい時期はあります。

    司会
     外での作業が多い業務もあれば、内業に限られる所もあると思うんですが、ただ、外での仕事が好きだっていう女性もおられるかもしれませんし、それを嫌がる方もおられるかもしれません。
     お二人は企業に勤められていますが、例えば男の場合は、そこでやりがいというのを見つけようとする人が多いと思うんですけど、女性の観点から見て、コンクリート関係の仕事の中で、やりがいを見つけようという気持ちっていうのはどうですか。

    K女史
     男性も女性も、やりがいを感じる所は同じだと思います。モノづくりが好きで建設業に身を投じたのですから、そこに性別の違いはないと思います。

    司会
     やってみてこの仕事は女性の感性を活かせるところがあるなっていうのはありますか?

    支部長
     私が勤めるJR西日本ですが・・・。

    司会
     支部長、どうぞ。

    支部長
     コンクリート関連で言うと、土木、建築、それぞれ女性社員が居ます。社員に期待する点については男女の差って基本的にはないと思っていますが、社内で聞いてみました。そうすると、建築の場合は、女性しか気が付かないような見方とか感性、今おっしゃったようなところがあるんですが、土木の場合は、ほとんどありません。たとえば、女性らしく設計するとか、女性らしく施工するなんていうことは、基本的にはないですよね。
     我々が期待している技術者像も、土木の場合は男性だから女性だからというような差はないような気がするし、女性社員が、土木でこういうことをやりたいと思っていることは、男性社員と基本的には同じだと思うんです。
     受け入れる側の上司や同僚の男性は、今まで男社会だった所に女性が入ってくるので、少し違和感を覚えるんですが、入ってくる女性社員のほうは、もう学生時代から男社会の中でずっと男性と同じようにやってきているわけなので、そんなに抵抗感とか違和感というようなものは無いように私は聞いています。

    司会
     なるほど。入ってくる女性にはあまり抵抗感はないけれども、受け入れる側、むしろ男性陣のほうに、問題が多少あるかもしれないということですね。じゃあ今度は男性の参加者であるNさんから、女性を見る立場から意見があればお願いします。リレーエッセイでどういう話題を期待する、あるいは期待できそうかについても。

    N氏
     特にT先生が言われた、男女関係なくっていう話に、私は共感を覚えます。けれど、性差っていうのは間違いなくあって、さきほど支部長がおっしゃったように、受け入れる側の違和感っていうのは当然あるので、そういうのをオブラートにくるんだ形で、「あるある」的なのを提供できればいいと思います。
    そこから結論を導き出すとか、そういう話じゃないと思うので。

    司会
     その通りですね。「あるある」ですか。いいですね。

    N氏
     読んだ人が、「こんな人いるいる」とか、「こういう事あるある」と共感してもらって、読んで元気になれるものになれば良いと思います。


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