女性コンクリート技術者へのメッセージ
執筆者情報 | |
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ハンドルネーム | SN |
性別 | 男性 |
年齢 | 40代 |
女性技術者との関係 | 同僚 |
勤続年数 | 20~30年 |
業種 | 非公開 |
1.コンクリートへ興味を持ったきっかけ
私がコンクリートに興味を持つきっかけは、高校時代に読んだ山根一眞著『「メタルカラー」の時代』の中にある、明石海峡大橋など巨大土木工事に携わった技術者へのインタビューです。こんな仕事をしたいと惹きこまれ、大学で土木を学び、コンクリートの研究室に入って、その流れで今の会社に入り・コンクリートに関わる研究、開発を行ってきました。
2.コンクリートの魅力
コンクリートとその材料は古くからあり、その作り方も基本は「練り混ぜて、打込みして養生する。」ほとんど変わっていません。新しい材料も開発されますが、そのスピードは他の業界に比べるとゆっくりだと思います。
そんなコンクリートですが、他の材料には無い懐の広さが魅力です。他産業からの廃棄物、副産物を活用したセメントや骨材、地域ごとに性質の異なる骨材も、使用する割合など配合を工夫することによって、使いこなすことができます。一方で、強度や変形などの高性能を追求するためには、海外から輸入した高品質な材料や先端の高機能材料を採用することもあります。
コンクリートが用いられるのは、橋梁やトンネル、ダム等の土木構造物や高層ビル、戸建の住宅等の建築物です。いずれも社会基盤や人命を守るものですから、安全性を確認するための研究・開発の必要性は尽きることがありません。
3.女性コンクリート技術者の卵に向けたメッセージ
私の会社には、コンクリート材料の研究・開発や分析に携わる女性技術者が増えてきています。彼女たちもコンクリートの練混ぜ、打込みなどの重労働をこなし、昔に比べて大分省力化や作業環境の改善が進みました。また、様々なライフステージの変化に対しても、特別休暇や時短勤務などの制度を利用して、何とか仕事を続けて欲しいという考えが浸透してきていると思います。
ただ、私の周りでも優秀で中堅となった女性技術者が、結婚してパートナーの仕事の都合で退職という事例はありました。退職する男性技術者についても同じことが言えますが、もったいないと思うのと同時に、今まで育ててきたのに残念だという思いも正直しました。
最後に、コンクリートが、「思い入れを持てる、愛すべき仕事の対象になる」かどうかは人によるのでしょうが、先に述べたような魅力に加えて、私も最近、「コンクリートは料理に似ていて面白い。」と思うことがあります。産地の違う様々な材料を使うことができ、高い材料を使ったからといっていいものができるとは限らない、作る人によって出来が変わる。プロはどんな材料、条件でもお客様が満足する品質を提供しないといけない、等々。他にもあるような気がします。そんな一筋縄ではいかないコンクリートの魅力を一緒に探してみませんか?